c5「DRAPING」ドレーピング

DRAPING」ドレーピング

ドレーピングは立体裁断を意味する縫製のパターンメイキングの方法の一つです。人台(マネキン)に生地を着せ付けてつくったシルエットを平面パターンに細分して、それらを縫い合わせて立体を再現します。また、2016年度のグッドデザイン大賞に選ばれた「オーサグラフ世界地図」は、丸い地球を平面の世界地図として表す手法であり、ドレーピングと一部共通する部分があると言えるでしょう。他にも、360度パノラマ写真など、空間を平面に落とし込む作業は数多く提案されていますが、これらは立体を小さな平面に「分割」するか、変形させて「写像」するか、あるいはこれらを組み合わせるかに分類する事ができます。

ここではある物や景色など立体的な対象を選び、それをモチーフに立体裁断を取り入れて、新たに「平面」として再構成し、美しい作品をつくってください。

提出物:ドローイング(275mm×275mm)

枚 数:表紙+2枚以上

出題日:11月16日(13時半時間厳守)

提出日:11月23日

講評日:11月30日

(出題:安東陽子)

A+++ 1x15a131 平林航一

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「water」と題された薄墨に濡れた紙を貼り付けコ レクションした作品。アンフラマンスな立体とし てのしわや滲みちぢれやアクが、水を抜かれ定着 した瞬間に、次元の不安定なドレープが立ち現れ、 瞬間を止められたかのような美しさに引き込まれ る見事な作品である。( 早田 )

 

A+++ 1X15A 中村陽介

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無題 ハチドリが花に集まり蜜を吸う様子を8枚のス ケッチに展開した。高い画力により精緻に表現さ れた細部が観る者を圧倒する。空間とともに時間 軸も平面に展開したように解釈される。完成度の 高い作品。( 安東 )

A+++ 1X15A066 小山真由

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75mm の細柱を原寸で写し取った作品。そこに 刻まれた傷や記憶までも一枚の絵画として定着さ せられることで、そこにある時間や空間がドレー プされる。仔細に事象を観察するその作者の目が、 作品の持つ力強さを物語っている。( 早田 )

A++ 1x15a148 前田まい

足や脚、また脛や脹脛だろうか、それらが絡まっ ている。それらの絡まり具合の他、人々の様態が どのようになっているのかは見えない。このディ ティールから外へ向かって開かれる様態に布の織 られる想像を喚起させるような作品と考える視点 が面白い。シーレを思わせる雰囲気やディティー ルだからおもしろい。( 入江 )

A++ 1x15a055 久保知芙美

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紙面二枚に自分自身の手が飛び出している。飛び 出している手からは影が伸び、手の持つ空間がド レーピングされている。この手自体も距離感を感 じられるように紙面にドレーピングされていると すれば、どのような立体が立ち上がるのか楽しみ な作品である。( 濱島 )

A++ 1X15A090 千田紘己

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90 × 90 × 90

9センチ角のスタイロを徐々に薄切りにしていっ たものを敷き詰めただけの作品だが、スタイロが 薄くなるにつれてその質感が徐々に変化して行く 様子が絶妙な表情をもたらし、美しい平面作品に 仕上げた。( 安東 )

A++ 1x15a167 山本悠太

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キリコの形而上絵画、「神託の謎」を再解釈して、 平面、展開図を分析し、その作業を経て単一の面 の再構成を行ったように見える。眼下に街を見下 ろす黒い人影の前に空へはためくカーテンの黒い 影が原画とのつながりをとどめ、黄色い背景に絵 画の要素と解析図が断片としてコラージュされ る。意欲的な作品であるが、原画に対する方法を もっと明確にすべきである。( 入江 )

A ++ 1x15a101 津田基史4.jpg

押し花=ドレーピングと捉えて、それらを組み合わせて具象的に造形していく作品。タイトルの通り、「踊子」を形づくったものだが、アルチンボルドの絵画のように、緻密な表現というよりもむしろコラージュ的要素が強く、鑑賞者の認識を行ったり来たりさせる不思議な魅力がある。

A ++ 1x15a043 金子柚那

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「みせる」と題された一輪の花が、生まれてから 死ぬまでを連画として映像的に表現した作品。色 づき衰えていく一連の時間を立体として捉え、少 しずつ揺れながらうつろう様をそのままにドレーピングしてみせた秀逸な作品。( 早田 )

A++ 1x15a049 川見夏実

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ムキムキ。みかんを剥くときは様々な位置から指 で差し込み、またミカンの旬によって実と皮のは なれ具合も相違して、様々な形状が生み出されて いる。「ミカンを食べる」季節の日常をささやか なドレーピングとして解いたことが面白い。( 入江)

A++ 1X15A137 藤本泰平

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薄い紙に黒いインクでさまざまなドローイング (似顔絵、図形、文字、抽象画)を描きながら、 それが何枚かの紙に染み渡って、やがてそれが消えていくプロセスを表現した作品。 徐々に意味や構成が消失されていく様は美しく楽 しい。連作として表現していることも効果的だ が、その順序構成や、効果に関しては再考の余地 があった気もする。(三浦)

A++ 1X15A032 大山芽衣

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<食パン + レーズン> 可塑性の一体物から要素を分解「抽出」していく さまをドレーピングと捉えた作品。誰もが知って いるものを定量分析的に再構築するプロセスから ユーモアと驚きを見出している。食パンの描き方 が美味しそうで惹かれる。(三浦)

A++ 1X15A144 ホンマスミレコ

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黄色い線までお下がり下さい。 満員電車に詰め込まれていたと思われる大勢の乗 客を平面に展開した構図が秀逸。ひとりひとりの 乗客が色とりどりの服や小物で丁寧に装飾されて いて、観る者を飽きさせない。( 安東 )

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